hideringoerの日記

Essay,もしくは随筆

あじさいの季節

ここ何年かあじさいの花のいろ、紫や薄青色の組み合わせの妙に目を集中させたことはなかった。3年になるだろうか。A市の家の門から玄関までの3、40メートルほど歩くその左に緑の葉の中から私の腰のあたりにてを伸ばそうとするあじさいがあったのだが、きょうじっと目が合ったK市のあじさいほどその色は目に浮かんでこないのだ。

A市の家は祖母が元気でいたころはすみずみまで母が箒ではき、午前の空気のちからがのこっているあいだに母が祖母の二枚重ねの綿布団から真ん中がしわになったシーツをさっとはがして洗濯。竹竿にそれを干すのがはやいかあたらしい白いシーツを敷きなおすのが早いか。私がその祖母が休んでいる座敷にはいるとき、その座敷の空気は引き締まった音を水平に白く響かせていた。

今思えばその18年くらい前のあじさいが迎えてくれた玄関は安心と誇りを思い出させてくれたのだ。